福島および全国の酪農家、酪農業界、消費者、日本社会にもたらすメリットを見据えて
3.11の巨大地震、大津波、福島原発事故により福島の酪農は壊滅的な被害を受け、それは現在もなお進行中です。廃業せざるを得なかった酪農家の無念の想いや県内の牧草を使用できない状況下で酪農生産を続ける作り手の遣る瀬無さ、安全な原料乳を用いてお馴染みの牛乳や乳製品をお届けしようとするものの消費者の理解を得られず忸怩たる思いをしている乳業関係者、このような将来に対する明るい兆しを見出せない状況が長引けば福島県酪農は日ごと脆弱化し再起できない状態にまで追いやられかねません。一刻も早く彼らに希望の光を感じ取ってもらうことが求められています。
今回のミネロファームは、まさしくその希望の光のひとつであり、福島県酪農業協同組合の経営理念である『我々は、健全な土と草と牛を育て、真心込めた自然の恵みを食卓に届け、消費者の笑顔と心をつなぎます』を実現するモデル牧場でもあります。ミネロファームは、ただ単に生乳を生産するだけでなく、循環型酪農と耕畜連携に基づく環境保全型地域農業の実現、エコロジーに軸足を置いた酪農教育ファームの実践、様々な除染作業と健全な土と草と牛を創造する試験研究などにも積極的に取り組む『場』であります。それは全国各地の先進的牧場が目指している姿でもあり、今日の日本の農業、日本の酪農業が抱えている問題(後継者不足、温暖化などの環境問題と循環型社会の形成、賢い消費者の育成など)を解決していく新たなアグリビジネスモデルでもあるのです。
もちろん福島以外の地域に広がる可能性はあるし、拡げていかなければならなりません。ただ、新たなものづくりやサービスの提供の中には試験研究段階であったり試行的段階のものもあり、ミネロファームの技術が直ちに普及する段階にはありません。また事業の展開に必要な資金調達も何処の牧場でも出来るわけではありません。それらのハードルをどのようにして引き下げていけば良いのかといった点についてもミネロファームの運営の中で検証していきたいと考えています。
特定非営利活動法人 福島農業復興ネットワーク
理事長 角田義勝